先日、ブリーフセラピーの研修会に申し込みをしました。
ブリーフセラピーとは、短い期間で心理的な問題の改善を目指す未来志向の心理療法のことです。
今まであまり勉強したことがなかった技法なので、研修会を受ける前に少し勉強しておこうと思って、『解決志向ブリーフセラピー』という本を読みました。
とても面白かったので紹介します。
本の紹介
<amazonより>
簡単で、効果・効率的で、安全なマニュアルである解決志向ブリーフセラピー。その基本的な考え方・哲学と実際の面接マニュアルのステップを紹介する。
中心哲学
解決志向ブリーフセラピーには中心哲学として3つのルールが挙げられています。
- ルール1 もしうまくいっているのなら、変えようとするな
- ルール2 もし一度やって、うまくいったのなら、またそれをせよ
- ルール3 もしうまくいかないのであれば、(何でもいいから)違うことをせよ
この3つのルールを中心に問題の解決を目指します。
理論
解決志向ブリーフセラピーを行う際の発想の前提として、次のような理論があります。
- 変化は絶えず起こっており、そして必然である。
- 小さな変化は、大きな変化を生み出す。
- 「解決」について知るほうが、問題と原因を把握することよりも有用である。
- クライエントは、彼らの問題解決のためのリソース(資源・資質)を持っている。
クライエントが、(彼らの)解決のエキスパート(専門家)である。
これについてもう少し詳しく紹介します。
1.変化は絶えず起こっており、そして必然である
解決志向ブリーフセラピーでは、「変化しないのは、変化を妨げている力があるからだ」と考えます。
もし、クライエントが自分から相談室に来てくれたなら、もうクライエントが変化に向けて動きだしていると言えます。
止まっているものを動かそうとすると、そこにはかなりの力が必要です。
でも、もう動き出しているなら、「いいね。動き出してるね。はい、どうぞ」と軽く押すだけで加速度がついていきます。
そのため、「変化は絶えず起こっている」という前提に立って、「どうですか?予約の電話をいただいてから今日まで、何か変化がありましたか?」と質問してみます。
質問することによって、「あっそうか。一週間前と今日とでは、確かにいろいろなことが違うな」とうことにクライエントが気づくことができたりします。
2.小さな変化は、大きな変化を生み出す。
これは詳細不要と思われるので割愛します。
3.「解決」について知るほうが、問題と原因を把握することよりも有用である。
問題は1つの原因から作られるとは限りません。
逆に問題が原因に影響を与えていることもあるし、2つの原因が影響しあっていることもあります。
また、問題と言わなくてもよかったものに「問題」という名前をつけてその感覚が共有されていくうちに、どんどん「問題」は大きくなり、本当の「問題」をつくってしまうこともあります。
例えば、ここに机があるとします。
この机を「もしかしたら私の足を骨折させてしまうかもしれない危険物」と表現したら、この机は「問題」になるわけです。
だから、問題の原因探しはせず、うまくいっていることや例外から解決方法を探します。
解決志向ブリーフセラピーにとって重要なことは、「何が正しいか」ではなくて「何が役に立つか」なのです。
4.クライエントは、彼らの問題解決のためのリソース(資源・資質)を持っている。クライエントが、(彼らの)解決のエキスパート(専門家)である。
問題解決につながるリソース(資源・資質)は、クライエントの持っているものを活用します。
最も見つけやすいのはクライエントの得意分野です。
面接のはじめに、まず「今、夢中になっていて、ワクワクするようなことって何ですか?」とか「あなたの『売り』は何ですか?」と聞いてみます。
また、「問題」だと思われるようなことは「能力」だとも言えます。
面接の流れ
解決志向ブリーフセラピーの面接の流れは次の通りです。
- ステップ1 クライエント-セラピスト関係の査定
- ステップ2 ゴールについての話し合い
- ステップ3 解決に向けての有効な質問
- ステップ4 介入
- ステップ5 ゴール・メンテナンス
ポイントは、ステップ4の「介入」までを初回面接でやってしまうことです。
なぜなら、変化が起こる確率が最も高いのは人と人が出会ったときだからです。
変化は絶えず起こっている!
この本を読んで気づいたのは、「変化は絶えず起こっている」という考え方を今まであまりしてこなかったということでした。
「変化は絶えず起こっている」からこそ、目指すべきゴールを確認することで進んでいけるんだろうなぁと思います。
変わりたくても、うまくいかないルートしか意識していなければ、ゴールにはたどり着けません。
とても納得できる部分が多かったので、使いこなせるように練習していきたいと思います!

ブリーフセラピー研修会のまとめ記事はこちらからどうぞ!
コメント