こんにちは!紺です!!
この記事では、精神科デイケアについて書いたこの本を紹介します!
『居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書』
<amazonより>
「ただ居るだけ」と「それでいいのか?」をめぐる感動のスペクタクル学術書!
京大出の心理学ハカセは悪戦苦闘の職探しの末、ようやく沖縄の精神科デイケア施設に職を得た。
しかし、「セラピーをするんだ!」と勇躍飛び込んだそこは、あらゆる価値が反転するふしぎの国だった――。
ケアとセラピーの価値について究極まで考え抜かれた本書は、同時に、人生の一時期を共に生きたメンバーさんやスタッフたちとの熱き友情物語でもあります。
印象に残ったところ
印象に残ったところは次の3つです。
心理士の仕事の多くはセラピーではなくケアである
著者も言っているように、私も仕事を始めた頃は「ケアよりセラピーの方が上だ」という意識がありました。
でも、デイケアで仕事をしていくうちにケアの重要性を感じるようになりました。
なぜなら、
(ジュンコさんは)心を掘り下げることではなく、心のまわりをしっかり固めて安定させてほしかったのだ。
『居るのはつらいよ』p50
私もこう感じる経験をしたからです。
心の深い所を掘り下げるのではなくまずは日常を支えることが、その方の精神的安定に繋がるんだと思いました。
セラピーだけでは不充分で、ケアをすることも心理士の重要な仕事だと思います。
そして、デイケアではスタッフがケアされることでメンバーさんをケアします。
誰かにケアされることが、その誰かケアすることになるからだ。
お年寄りは席を譲られることで人を元気にしているし、勉強を教えてもらっている劣等生は、じつは優等生の家庭教師でもある。
『居るのはつらいよ』p205
メンバーさんは、ケアされるばかりではなくケアする立場になることによって元気になっていきます。
スタッフに対してケアができれば、それはメンバーさんの力になります。
その時、スタッフは「ケアさせてあげる」のではなく、「ケアしてもらう」でなければいけないと思います。
ケアしてもらうことで、お互いが成長できるなぁと感じています。

ケアは傷つけない。セラピーは傷つきに向き合う。
ただ、やはりケアだけでなくセラピーが必要となることもあります。
ケアとセラピーの違いについて著者はこう書いています。
ケアは傷つけない。ニーズを満たし、支え、依存を引き受ける。
そうすることで、安全を確保し、生存を可能にする。平衡を取り戻し、日常を支える。
セラピーは傷つきに向き合う。ニーズの変更のために、介入し、自立を目指す。
すると、人は非日常の中で葛藤し、そして成長する。
『居るのはつらいよ』p276
セラピーは苦しみを伴います。
でも、これまで苦しんできた生き方を変えようと取り組みます。
セラピーによって、ケアが機能するようになることもあります。
「ただ、いる、だけ」の意味を説明するのが困難
デイケアは「ただ、いる、だけ」をする場所ということに意味があります。
ただ、その場を維持し続けるためにかかる費用に対して、どういう効果があるのかと言われると明確に説明することは困難です。
私は、デイケアの価値を理解しながらも、それを明確に説明できない矛盾に耐えられなくなって居続けることができなくなったと感じています。
感動的な物語としてだけではなく、あえてこの部分にまで踏み込んで書いたことがこの本の最大のポイントだと思います。
精神科デイケアという「ふしぎの国」が見える本
この本は、私が精神科デイケアで勤務していて感じたことが言語化されていて、「そうそう!!!」と納得しまくりながら読みました。
じつは、この本のことを知っていながらなかなか読む気になれませんでした。
なぜなら、デイケアでの体験は言語化が難しいと思っていたので、「言語化されてたまるもんか!」と思っていたからです…。
デイケアの存在価値の部分まで言語化されていることは驚きでした。
精神科デイケアという「ふしぎの国」を知りたい方におすすめの本です!!

まだ完結していませんが、マンガ版もあります!

精神科デイケアで私がやっていた仕事について書いた記事はこちら。
コメント
ゆうさん、どうもですー😊
今回のレビュー、やばいくらい気持ち入ってますね!すごくイイです✨🤩
自分も家族的に他人ごとではないので、この「居るのはつらいよ」に、とても興味が出てしまいました👍
紅星さん、コメントありがとうございます!
精神科デイケア好きなので、気合い入りました!!