先日、オープンダイアローグについての講演会に行きました。
行く前にこの本を読んだので、内容について自分なりにまとめてみようと思います。
本の紹介
内容<amazonより>
「開かれた対話」を通じて精神疾患にアプローチする。
この画期的な手法であり思想を、日本に導入すべく奔走する著者の最新論集。
斎藤環先生が2013年にオープンダイアローグに出会って以降、「対話」について論じたエッセイや論文をまとめた書籍です。
色々な角度から「対話」について書かれていて、とても興味深く読みました。
オープンダイアローグがどんなものかについては、こちらでまとめました。

印象に残ったところ
印象に残ったところは3つあります。
1.「治療的民主主義」が機能する
オープンダイアローグでは参加者全員がフラットな関係性であることを前提とします。
つまり、治療チーム内において、医師も看護師も対等であり、治療チームとクライアントチームも対等に話をします。
また、クライアントのことについてスタッフだけで話すことはせず、全て患者の前で話し合われることによって、患者の自由と尊厳を最大限に尊重します。
このことは、治療的にも高い価値があります。
2.ネットワークの修復が患者の治癒力を引き出す
オープンダイアローグは、精神疾患の原因をネットワークに求めているのではなく、原因いかんにかかわらず、ネットワークの修復は治療的意義を持つとみなします。
治療チームのネットワークで患者のネットワークを修復するのがオープンダイアローグのプロセスです。
そのため、危機的状況はむしろ患者と社会の関係性を再構築するチャンスとなります。
3.幻覚や妄想も深く共有されることで改善する
オープンダイアローグにおいては幻覚や妄想を「了解不可能」というレッテルを貼らずに対話をすることで、幻覚や妄想が改善していきます。
ここでいう「共有」は、個人精神療法で行う二者関係の権力構造のなかの共有ではなく、複数人のチームで行うことが本当の意味での「共有」になります。
そのためには、その「場」で言葉のみならず患者の身体にも同調し、
メンバー相互の異なった視点が接続され、体験が共有されることが重要です。
感想
この本を読んで、一番印象に残ったのは「治療的民主主義」という言葉です。
本来、クライアントのことはクライアント自身が決めるべきであると思います。
治療の最終責任者は医者だけれども、他のスタッフやクライアントの関係者もそれぞれの分野での専門家であり、言いなりになるだけではいけないと思います。
オープンダイアローグはその「理想」を実現できる理論と仕組みがあるということが素晴らしいと思いました。
次回はいよいよ、講演会に行った感想を書きます。
コメント