先日、オープンダイアローグについての講演会に行ってきました。
オープンダイアローグとは、対話を用いた精神病に対する治療的介入の手法です。
薬物治療や入院治療をほとんど行うことなく、きわめて良好な治療成績を上げており、国際的にも注目されつつあります。
オープンダイアローグとはどういうものなのか、自分なりにまとめてみようと思います。
オープンダイアローグの流れ
オープンダイアローグの流れを説明します。
治療スタッフはクライアントからの依頼を受けてただちに治療チーム(2人以上)を結成し、クライアントの自宅を訪問します。
リビングなどで本人や家族、友人知人らの関係者(「ネットワーク」と呼ばれる)を交えて車座になり「開かれた対話」を行います。
ミーティングの時間は1時間から1時間半程度で、クライアントの状態が改善するまで、時には毎日のように対話が続けられる場合もあります。
対話の流れとしては、治療チームはまず対話によって信頼関係と安全保障感を確保し、問いかけと応答によって「病的体験」の言語化と共有が試みられます。
重要なことは患者の訴えを否定したり診断したりせず、通常の困りごとと同様に、詳しく話を掘り下げていくことです。
そして「リフレクティング」と言って、患者や家族の面前で専門家が話し合い、一区切りしたら立場を入れ替えて話し合うということを行います。
これによって患者の評価と治療計画についての意見が交換され、その過程から適切な答えがおのずから導かれます。
患者にとって重要なことは患者がいないところでは決めません。
このとき対話は「変化(改善)」を意図してなされるわけではありません。
よい対話の持続が、あたかも副産物のようにして改善や治癒をもたらすというイメージです。
オープンダイアローグの7つの原則
オープンダイアローグの実践を可能にするシステムの原則および理念・思想について、『7つの原則』というものがあります。
内容をまとめると
- その時々のニーズに合わせて、できるだけ即座に対応する。
- 繋がりのある人をミーティングに招き、結論を急がずに対話を続ける。
- 治療チームは支援全体に責任を持ち、最初からずっと関わる。
ということかなと思います。
対話実践の12の基本要素
オープンダイアローグの「対話実践」に関わる必須要素として、12の基本要素が挙げられています。
これをまとめると
- 本人のいないところで決めず、答えのない不確かな状況に耐える 。
- 今、ここで語られていることは意味のある反応であると捉えて耳を傾ける 。
- さまざまな見方を尊重し、お互いの人間関係をめぐる反応や気持ちを大切に扱う。
ということだと思います。
対話実践について詳しくは
ここまで、 オープンダイアローグについて私なりにまとめてきました。
対話実践についてもう少し詳しく知りたい方は、オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパンがまとめている、「オープンダイアローグ対話実践のガイドライン」をご覧ください。

次回は、斎藤環先生の『オープンダイアローグがひらく精神医療』を読んで解ったことについて書こうと思います。
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